フランス宮廷文化の美を伝えるセーブル磁器
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フランスのセーブル磁器は、ブルボン王朝 ルイ15世の寵姫であったポンパドール夫人の提案で、王室御用達のヴァンセンヌ窯(1738年設立)が、1756年にパリのルーブル宮からベルサイユ宮殿に向かう途中のセーブルの地に移されたのが始まりです。 1759年にフランス王立製陶所となり、フランス革命後は国立セーブル製陶所として現在に至るまで国窯として、フランス宮廷文化の美を伝えてきました。 前身であるヴァンセンヌ窯においては、中国や日本などの磁器、マイセンなどの模倣が顕著でしたが、セーブル窯となったルイ15世の時代には、当時流行したロココ様式の影響を受け、ロココを代表する画家、ブーシェ等が原画を描いた絵皿、花器などを生み出し、フランス独自の意匠を確立していきました。 こうしてセーブルはブルボン王朝の居城、ベルサイユ宮殿を飾るための豪華な装飾が施された磁器を次々に生み出していき、他国の国王、王妃への贈り物にも用いられてきました。 |
六本木サロンのセーブルの絵皿(18世紀のもの) |
六本木サロンのセーブルのビスクドール (20世紀初頭のもの) |
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セーブルの名声を高めているのは、「ローズ・ポンパドール」、「セーブルのブルー」と言われる色彩の見事さ、芸術性の高さ、華麗で繊細な金彩文様を操る高度な技術と言われています。また一般の陶磁器メーカーと異なり、王立、国立の製陶所という特殊性と最高の磁器を生産するために、生産量は現代においても限定されています。 パリ郊外の国立セーブル製陶所には、1824年、製陶所の支配人であったアレクサンドル・ブロニアールが設立した壮麗なセーブル国立陶磁器博物館が併設されています。 ここではマリー・アントワネット妃、ポンパドール夫人などブルボン王朝の貴婦人達が愛用したセーブル磁器やフランスの陶磁器の他に、収集した世界の陶磁器を見ることができます。 |
パリ郊外 セーブル国立陶磁器博物館の前にて |