ヨーロッパ磁器のふるさと マイセン磁器製作所を訪ねて


ザクセン王国の首都であったドレスデンからエルベ河を1時間ほど下ったところにヨーロッパ磁器のふるさと マイセンがあります。マイセンは17世紀から18世紀にかけて、アウグスト強王(アウグスト2世)が当時白い黄金と言われた高価な景徳鎮、伊万里、柿右衛門の磁器に憧れて、当時のヨーロッパでは謎とされていた磁器の製法を、錬金術師ベドガーに研究させ、1708年ヨーロッパで最初に硬質磁器を完成させた地です。錬金術がまやかしであることをアウグスト強王に見抜かれたベドガーは幽閉同然で研究させられたと伝えられています。
1710年にはマイセンのアルブレヒト城内にマイセン磁器製作所が開設され、白い磁器(ベドガー磁器)が量産されるようになりました。
              マイセン磁器博物館のモダンなエントランス
       △Mouse マイセン磁器博物館内のレストラン

アウグスト強王は白い磁器だけでは満足せず、ウィーンから絵付師エロルトを招聘し、今日のマイセンの基礎となる、華麗な色彩、繊細な絵付け・文様を施した磁器を次々に送り出します。
さらにアウグスト強王は磁器で宮殿を造ることを夢見て、そこに飾る彫像もすべて磁器で造ることを考えていました。そこでドレスデン出身の若き彫刻家、ケンドラーを見出し、数々の動物の彫像を磁器で作らせています。これらの彫像はドレスデン ツヴィンガー宮殿内の陶磁器博物館とマイセン磁器博物館で鑑賞することができます。

またアウグスト強王は自らの趣味嗜好を満足させるだけではなく、磁器の生産によって国庫を潤すことを考えていました。そのためマイセン磁器は王侯貴族のためだけでなく、一般市場のためにも製作されました。
エルベ河沿いのアルブレヒト城内に磁器製作所が開設されたのは、磁器の製法を門外不出とするとともに、エルベ河畔にある地の利を生かして、海運を利用して製品を輸送することを考えたからです。
現在、マイセン磁器製作所はマイセンの市街に移り、高品質で芸術性の高いハンドペイントの磁器を生産しています。


マイセン
エルベ河畔にあるアルブレヒト城
マイセン磁器製作所の創立当時、この城内に磁器工房が設けられました。



世界中から訪れる見学者のために、マイセン磁器製作所では磁器博物館を併設しており、博物館内には見学用工房、マイセン磁器の所蔵作品を展示するホール、マイセンショップ、マイセンの食器で頂けるカフェ・レストランがあります。
見学用工房は実際の製品と同じように、轆轤・成型、接合、下絵付け、上絵付けの製造工程が見学でき、磁器工房ではマイスターが直接指導するマイセン磁器の絵付けなどのセミナーも行っています。
所蔵作品を展示するホールでは、創業から現在までの歴史の変遷がわかるように展示されており、展示作品も小さなフィギュアからセルヴィス(食器セット)、宮廷用の巨大なセンターピースまで多彩なマイセンの作品を鑑賞できます。
ザクセン王国のマイセンはヨーロッパ磁器のふるさととして、食卓芸術に関心のある方は是非訪れたい地です。


            特別に見学させていただいた製作所での絵付け作業
     △Mouse 見学用工房の轆轤・成形作業

マイセン磁器博物館内の
工房で使われている轆轤の型

アウグスト2世騎馬像
マイセン磁器博物館内の
磁器で作られたパイプオルガン

聖母教会(フラウエン・キルヒェ)
クリックすると大きな写真でご覧いただけます。

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