カトラリーについて

テーブルセッティングする場合、カトラリー(英 Cutlery/仏 Les couverts)は食器・グラスとデザイン、グレードを合わせる必要があります。食器がモダンなものなのに、カトラリーはクラシックなデザインのものを選んではアンバランスですし、高級食器にステンレス製のカトラリーでもアンバランスです。
有名なメーカーのものでしたら、後から少しづつ買い揃えられますので、それぞれのご家庭の料理の内容、お客様をどのようにお招きするか(例えばビュッフェパーティが多いご家庭ならフォークを多くなど)、フォーマルなセッティングをするかなどの点を考慮して、メーカー、デザイン、素材を慎重に選択しましょう。

家庭で最小限揃える必要のあるカトラリーは、テーブル・ナイフ、テーブル・フォーク、テーブル・スプーンをそれぞれ6本づつです。次に揃えるのはコーヒー・スプーン、ケーキ・フォーク、デザート・ナイフ、デザート・フォーク、デザート・スプーンとなります。

高級食器に合わせるのでしたら、やはり長い目で見て銀器を選択しましょう。フランスの『クリストフル』・『ピュイフォルカ』、英国の『マッピン&ウェップ』なら高品質ですので、安心してお勧めできます。
基本的なカトラリーが揃ったなら、後はガーデンでの食事など、カジュアルなカトラリーも揃えていけば、いろいろなセッティングに対応できます。


カトラリーの種類


テーブル・ナイフ
 (仏 Couteau de table)

コース料理の主菜用に使われるナイフです。肉料理は勿論のこと、ソースが少ない魚料理にも使われます。食事用としては他のナイフよりも一番大きいナイフです。レストランによっては前菜用もこのテーブル・ナイフを使用しています。



テーブル・フォーク
 (仏 Fourchette de table)

コース料理の主菜用に使われるフォークです。ナイフと同様に肉料理・魚料理どちらにも使われ、大きさも一番大きくなっています。テーブル・フォークも前菜用に使われます。


テーブル・スプーン 
 (仏 Cuiller de table)

コース料理の主菜用に使われるスプーンで、ブイヤベースなどのスープ仕立ての魚料理、シチューなどの肉料理に使われます。また主菜ではありませんが、スープにも使われます。


フィッシュ・ナイフ
 (仏 Couteau a poisson)

テーブル・ナイフよりやや小振りで、一般に先端が鋭角になっていて、刃先があまり鋭くないナイフですが、最近のレストランではフィッシュ・ナイフを用意しないで、テーブル・ナイフを使う場合も多くなっています。メーカーのシリーズによっては、フィッシュ・ナイフを用意していない場合もあります。



フィッシュ・フォーク
 (仏 Fourchette a poisson)

フィッシュ・ナイフと同様にテーブル・フォークよりやや小振りで、大きさもナイフに合わせていますが、このフォークもあまり使われなくなってきています。このフィッシュ・フォークもメーカーのシリーズによっては、用意していない場合もあります。



ソース・スプーン
 (仏 Cuiller a sauce)

テーブル・スプーンよりソースをすくう部分の径が大きく、平べったくなっています。フランス料理ではソースが重要な役目を果たしますので、ソースの多い肉料理、魚料理の場合にテーブル・ナイフ、テーブル・フォークと一緒にセッティングされます。



スープ・スプーン
 (仏 Cuiller a consomme)

テーブル・スプーンよりスープをすくう部分の径が大きく、長さが短くなっていて、スープを飲むのに適した形状になっていますが、一般にレストランではテーブル・スプーンが使われます。
またフランス人はスプーンの先端を口に直角に当ててスープを注ぎ込むのが普通なので、先端が細くなっているテーブル・スプーンの方がスープを飲むのに適しています。メーカーのシリーズによっては、スープ・スプーンを用意していない場合もあります。



デザート・ナイフ
 (仏 Couteau a dessert)

テーブル・ナイフよりも小型でデザートだけではなく、前菜、チーズ用にも使われます。一般のレストランではデザート、前菜は本格的な料理が多いため、テーブル・ナイフを使う事が多く、デザートレストランやカフェのデザートでよく使われます。なおフォーマルなセッティングをする場合、テーブル・ナイフとデザインを揃えてください。



デザート・フォーク
 (仏 Fourchette a dessert)

デザート・ナイフと同様にテーブル・フォークよりも小型で前菜、チーズ用にも使われます。ナイフが必要でないデザートの時は、デザート・フォークとデザート・スプーンがセッティングされます。フォーマルなセッティングをする場合、テーブル・フォークとデザインを揃えてください。



デザート・スプーン
 (仏 Cuiller a dessert)

デザート・ナイフと同様にソースの多い前菜やスープ仕立ての前菜にも使われます。ムースのようなデザートではデザート・スプーンのみセッティングされることもあります。フォーマルなセッティングをする場合、テーブル・スプーンとデザインを揃えてください。



コーヒー・スプーン
 (仏 Cuiller a cafe)

普通のカップ&ソーサーに添えられるコーヒーやティー用のスプーンです。フォーマルなセッティングではテーブル・スプーンと同じデザインのもので統一すべきですが、ご家庭では別のデザインのスプーンをいくつか用意しておけば、カップとのデザインの組み合わせを楽しめますし、ティーパーティの時に便利です。



ケーキ・フォーク
 (仏 Fourchette a gateau)

コーヒー・スプーンと大きさが揃ったフォークです。これもフォーマルなセッティングをする時はテーブル・フォークと同じデザインのもので統一しましょう。フォークだけで食べられるケーキをお出しするだけならば、このフォークで充分ですが、本格的なデザートをお出しする時は、デザート・ナイフ、デザート・フォーク、デザート・スプーンが必要になります。デザインを揃えたコーヒー・スプーンとケーキ・フォークだけのセットを用意しているメーカーもあります。



デミタス・スプーン
 (仏 Cuiller a moka)

コーヒー・スプーンより小さく、名前の通りデミタスカップでエスプレッソなどを飲む場合に添えられます。フレンチレストランやイタリアンレストランでは食後にエスプレッソを出すのが一般的なので必要となりますが、ご家庭ではカップ&ソーサーとコーヒー・スプーンの組み合わせで揃えた方がいろいろなセッティングに対応できます。



バター・ナイフ
 (仏 Tartineur)

フォーマルなセッティングをする場合、テーブルに着席する人全員にバター・ナイフをセッティングする必要がありますので、テーブル・ナイフと同数揃える必要があります。またテーブル・ナイフとデザインを揃えてください。ご家庭でディナーパーティを催す時は、バターをあらかじめ各自のパン皿に盛り付けておき、テーブル・ナイフ、デザート・ナイフで代用してもらうことで充分と思います。



チーズ・ナイフ
 (仏 Couteau a servir le fromage)

テーブルに着席する人、全員に必要なカトラリーではなく、カッティングボードなどでチーズを切り分けるのに使うカトラリーです。刃先がチーズを切るのに適した形状のため、ひとつあると重宝します。但しチーズはいろいろなタイプがありますので、どのタイプのチーズでも切りやすいとは言えません。
特殊なカトラリーですので、通常メーカーのカトラリーセットには含まれません。



ロブスター・クラッカー
 (仏 Pince a homard)

ロブスターやクラブなどの甲殻類の殻を砕くためのカトラリーです。一般にフレンチレストランのロブスターなどの料理では、半身に割って調理したり、中身を調理後に、殻を飾りとして盛り付けたりしますので、特にロブスター・クラッカーは必要なく、テーブル・ナイフとテーブル・フォークを使います。クラブなどを丸ごと入れて調理する魚介類のスープでは必要となることがあります。
特殊なカトラリーですので、通常メーカーのカトラリーセットには含まれません。



ロブスター・フォーク
 (仏 Fourchette a homard)

ロブスターやクラブなどの甲殻類の殻から身を取り出す時に必要となるカトラリーです。ロブスター・クラッカーと同様にクラブなどを丸ごと入れて調理する料理では必要となることがありますが、通常は必要ありません。
特殊なカトラリーですので、通常メーカーのカトラリーセットには含まれません。



エスカルゴ・トング
 (仏 Pince a escargots)

一般にエスカルゴは殻付きで調理されますので、このエスカルゴ・トングで殻を押さえないと食べることができません。また通常殻付きのエスカルゴを盛り付ける場合、エスカルゴの殻を置く窪みのある専用のプレートも使われます。
特殊なカトラリーですので、通常メーカーのカトラリーセットには含まれません。



エスカルゴ・フォーク
 (仏 Fourchette a escargots)

エスカルゴ・トングに添えて出されるフォークで、エスカルゴ・トングで殻を押さえて、中身をエスカルゴ・フォークで刺して食べます。殻は小さいのでテーブル・フォークを使うことはできません。
特殊なカトラリーですので、通常メーカーのカトラリーセットには含まれません。



オイスター・フォーク
 (仏 Fourchette a huitres)

オイスターやムール貝などの貝類を殻付きで調理する場合の料理に添えられる、小型ですが幅広のフォークです。テーブル・フォークでは大きすぎるので、このフォークが使われますが、一般のレストランではデザート・フォークを使うことが多いようです。
特殊なカトラリーですので、通常メーカーのカトラリーセットには含まれません。



フランス語表記のご注意
フォントの都合上、フランス語の『e』の上に『´』がつく文字は『e』と、フランス語特有の文字は一部省略して表記しています。







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