グラスについて

グラスはその光沢と輝きにより、食卓を華やかに演出してくれるテーブルウェアです。
グラスは中に注ぐ飲物により、いろいろな形状、色、材質のものがあります。下の例はそれぞれの飲物の一般的な形状を書いていますが、ワイングラスひとつを取っても、形状、大きさはまちまちです。

グラスを揃える時、手持ちの食器とのデザインのバランスを考慮して選ぶ必要があります。フォーマルな食器をお持ちの場合、クリスタルガラスで重厚なカットのあるグラスが適しています。クリスタルガラスは酸化鉛を加えて、ガラスの透明度を高めたもので、耐久性は劣りますが、光の屈折率が高いので、フォーマルな食器と並べると格調の高い食卓になります。

一般的には最初に必要となるグラスは水用、ワイン用で、その他はご自分の用途に合わせてシャンパン、ビール、ソフトドリンク、ウイスキー用のグラスを揃えていくことになります。フォーマルなセッティングをする場合は、水用、ワイン用、シャンパン(シャンパーニュ)用はぜひとも揃えておきたいグラスで、脚(ステム 英 stem)付きの形状(手の温度で飲物の温度を変えないため)のものを選びましょう。できれば同じメーカーの同じシリーズでグラスを揃えた方が良いのですが、ワインを楽しむためのグラスがいろいろ市販されていますので、ご家庭では特にこだわる必要はないでしょう。


グラスの種類


赤ワイングラス
 (仏 Verre a vin rouge)

香りや味を楽しむという点では、容量が大きく、上がすぼまっている形状のものが適しています。
白ワイン用よりも容量が多いのが普通です。
なお下記のワイングラスについても参照してください。

白ワイングラス
 (仏 Verre a vin blanc)

白ワイングラスは赤ワインより通常小型のため、ご家庭ではシェリー酒、ポルト酒、マディラ酒用として使っても良いでしょう。メーカーによっては特に白ワイングラスを用意していない場合もあります。

シャンパーニュグラス
 (仏 Flute a champagne)

シャンパーニュグラスはフルート型をしています。これはきめ細かい泡を美しく見せ、香りも楽しむためです。シャンパーニュ用として売られている底の浅いグラス(シャンパン・クープ)は乾杯などのお祝いのためのもので、シャンパーニュを楽しむには適していません。

ウォーターゴブレット
 (仏 Verre a eau)

下記のタンブラーを水用としても構わないのですが、正式なテーブルセッティングではワイングラスと一緒に並べますので、左図のステム付きが必要です。ご家庭ではビール用としても使えます。

タンブラー
 (仏 Goblet)

細長い形状のグラスで、ビール、カクテルなどのアルコール飲料からソフトドリンク、水まで非常に用途の広いグラスです。高さがあるので、ハイボールなどの炭酸飲料にも適しています。

オールドファッションドグラス
 (仏 Goblet old fasion)

タンブラーより背が低く径が大きいグラスで、主にウイスキーのオンザロックやカクテルに使われるグラスです。

リキュールグラス
 (仏 Verre a liqueur)

容量の小さなグラスでリキュールをストレートで飲む場合に使うグラスです。白ワイングラスと同様にアルコール度数が高いポルト酒、マディラ酒に使っても良いでしょう。日本酒(冷酒)用として使ってもおかしくありません。

カクテルグラス
 (仏 Verre a cocktail)

カクテル用といってもすべてのカクテルにこのグラスを使うわけではなく、炭酸を含まないショートドリンク(マティーニなど)用として使われます。炭酸を使ったロングドリンク(カンパリソーダなど)にはタンブラー、オールドファッションドグラスが使われます。

ブランデーグラス
 (仏 Verre a cognac)

短いステムを持ち容量が比較的大きなグラスです。手でグラスを包んで使いますので、ブランデーを温めることができ、より香りを立ち上らせることができます。なお高級なブランデーでは樽の中で十分香りが引き出されているので、手で温める必要はなく、ステムの長いコニサーグラスも使われます。

デキャンタ 
 (仏 Carafe)

ワインをワインのボトルからこのデキャンタに移し、古いワインのボトルの底にたまった澱を取り除いたり、新しいワインを空気に触れさせて香りを開くために使われます。形状もいろいろあり、レストランではフレンチダックと呼ばれるアヒルの形をしたものがよく使われます。



ワイングラスについて

左にいくつかワイングラスを並べてみました。一番右はごく普通のワイングラスでカットはあるものの、特にワインを楽しむために形状に工夫をこらしてはいません。

その左隣がテイスティンググラスと呼ばれているワイングラスです。形状は国際基準協会(ISO)の規格(全体の高さ155±5mm、全容量215±10ml、利き酒容量50ml、無色透明のクリスタルグラス)で決まっていて、いろいろなワインを試飲するのに用いられます。香りをチェックしやすいように上がすぼまった形状をしています。

左の4種類のグラスはワインを楽しむために生まれてきたグラスです。美しいカットはありませんが、ワインの種類(産地、ブドウの種類)に合わせていろいろなタイプがあり、それぞれのワインの特性をより引き立たせるために形状、大きさ、ガラスの厚さを工夫しています。このようなワイングラスを最初に開発したのはオーストリアのリーデル社で、写真のワイングラスは左からヴィノムシリーズのボルドー、ブルゴーニュ、シャルドネ、リースリングのグラスです。ワインを重視したレストランではこのグラスが主に用いられていますし、ワインを愛好する人に普及しています。

なお同様なコンセプトのグラスは、仏 バカラ社、日本 HOYA社、佐々木硝子などの各社からも発売されています。ワインブームの広がりとともに、こうしたグラスはますます普及していくことでしょう。

フランス語表記のご注意
フォントの都合上、フランス語の『e』の上に『´』がつく文字は『e』と、フランス語特有の文字は一部省略して表記しています。







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